わんこ系男子と甘々な日常
でも、
『言わなきゃ良かった』
『あー!またそんなこと言うー!俺は嬉しくなったんだから気持ちを言ってくれて正解だったの!』
『うん、言わなきゃ良かった』
私の言葉に反応する蒼空くんは私の嗜虐心を上手く煽ってくるから、わざと反対のことを言いたくなってしまう。
ほんとは、にへらと緩みきった可愛い顔を見られるのは悪くないと思っているんだけど……私は捻くれ者なんだもの。
これはもはや病気だから仕方がないよね。
『うー、先輩の意地悪……。でも俺はそんな先輩も大好きだから、めちゃくちゃ勉強を頑張るね!今決めた!』
『え?なんでそうなるの?』
『もー鈍いなぁ!先輩と同じ高校を目指すって言ってるの!』
『よくわかんないけど、無理じゃないかな』
『やる前から諦めない!残り一年半くらいだから頑張れば行けるかも……死ぬ気でやる!!』
拳を固く握りしめて高々とあげるその背景にはメラメラと燃え上がる幻の炎が見えるほどに固い意思が示されていた。
そして続いて固く結んでいた拳を開き、小指を立てて私の方へとそっと差し出した。