わんこ系男子と甘々な日常
『俺、絶対に先輩と同じ学校に行く。約束ね』
『……まぁ、そこまで言い切るんなら指切りくらいはしてあげてもいい』
嬉しいくせに超上から目線でそんなセリフを言ってしまう私はとことん可愛くないとしみじみ思う。
蒼空くんはそんな私と小指を絡め、子供っぽくテンポのいい指切りをした。
満足気に笑って、だけどその瞳には固い決意を宿した真剣な光が煌めいていて。
自然とその綺麗な瞳に視線が吸い込まれた。
『奈子先輩との約束だもん。それを守るためなら無理くらいしてみせるよ。……だからね、先輩』
いつもの高めの明るい声とは全く違って、少し低めの落ち着いてくっきりとした声。
すり……っと顔を寄せられたことでよりはっきりと声が耳に届いた。
私は催眠術にでもかかったかのように、動くことも言葉を発する事もできなくて。
ぴしりと固まったまま、蒼空くんの言葉に耳を傾けていると……
『俺のこと、待っててよ』
……可愛いはずのわんこに耳元で"待て"を命じられた。