わんこ系男子と甘々な日常
「だめ……?」
と、少しだけ小首を傾ける蒼空くんの可愛さったら尋常じゃなくて。
私の時間で良ければいくらでも差し出すことを伝えたい。
いや、というかむしろ。
「そんなものでいいの?もっといいものがたくさんあると思うんだけど……」
ご褒美が欲しいと言った割に欲がなさすぎてびっくりした。
男子高校生と言えば、ゲームの課金カードやらスマホのケースやらそういうものを欲しがる生き物だと思っているから。
それが蒼空くんは時間って。
しかも、私の時間って。
やっぱり蒼空くんは変な人だ。
「"そんなもの"じゃない!俺にとってはめちゃくちゃ大事で貴重なものなの!俺は先輩との時間"が"欲しいの!」
心の中で軽くディスっていると、ところどころ強調され、めちゃくちゃ怒られた。
そ、そうだよね。価値観は人それぞれだもんね。
怒られてもなお、私は蒼空くんが変人だと思うけど……蒼空くんが欲しいって思うものを軽視する権利は誰にもないもんね。