わんこ系男子と甘々な日常


やれやれと顔を見上げると。
さっきとは比べ物にならない、うるさいとくらいに蒼空くんの顔が喜んでいて。


それを見た私の胸の中に安堵感が広がった。


なんで安心してるのか自分でもよくわからないけど……今はそれを考えてる場合じゃない、よね。


今、自分に向けられている感情は、蒼空くんからの好意的なとってもあったかいものと。


……それを遥かに上回る冷たく鋭い敵意。


この状況、何度も経験したからそろそろ飽きてきた。


「蒼空くん、おはよう。そしてさようなら。お話してた人たちを放ってきたらダメでしょ?今すぐ戻りなよ」

「あっ、それもそっか。ちょっと待ってね。……先輩たち、ごめんなさーい!!」


……いや、あの、ちゃんと謝るのは偉いけどね?
私は『戻りなよ』って言ったんだよ?


対応が間違ってるよ!


こっちに向き直る蒼空くんにツッコミを入れたくなったけど。


「俺の中では奈子先輩が最優先だから。みんなには悪いことしちゃったけど、反省はしないよ」


……なんて、いたずら顔を向けられた。


みんなに聞こえないように、私の耳元へ可愛くこそこそ話をする蒼空くんは悪い子。


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