彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「迷惑だった?」


私は慌てて左右に首を降った。


「そんなことない!」


大きな声で否定して、むせこんでしまう。


お母さんが持ってきてくれていたコップのお茶を差し出してくれたので、それを一気に飲み干す。


そうすることで少し落ち着くこともできた。


私はベッドに腰掛けて佳太くんを見た。


本物の佳太くんだ。


ずっとずっと探していた佳太くんだ。


そう思うと今度はジワリと目の奥が熱くなってきて、あっと今に視界がボヤけてきてしまった。


今日の私は風邪のせいで感情の制御が難しいみたいだ。


ボロボロとこぼれだす涙を止めることができなくて、佳太くんが慌てて「どうしたの? 体、つらい?」と聞いてくる。


私はまた子供みたいに左右に首を振って「そうじゃなくて、佳太くんに会えたことが嬉しくて」と、素直に伝えることができた。
< 113 / 141 >

この作品をシェア

pagetop