彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「でも、中学に入ったら新しい子が増えて、その子たちのことを覚えるのは大変になるかもしれないんだ」


お父さんは深刻そうな顔になって言う。


「新しい友だちを作らなくても、小学校からの友達と遊べばいいじゃん」


このときの私はことの重大さを理解していなくて、軽く言い返す。


本当にどうにかなると思っていたのだ。


「そうだけど、でもねそう簡単じゃなくなるかもしれないの。だからもしかしたら、中学からは特別学級へ通ったほうがいいかもしれないの」


「特別学級?」


私は首をかしげて聞き返す。


聞いたことのない名称だった。


「そう。色々と問題を抱えている子が通う学級のことよ。そこでならちゃんと勉強もできるし、困ることもないの」


「それってよしこちゃんやゆうこちゃんも行くの?」


2人共私の友人の名前だった。


両親は同時に目を見かわせて、そして左右に首を振った。


その瞬間、私は特別学級を拒否した。


みんながいない場所で勉強するなんて嫌だ。


休憩時間には外で遊んで、わからない問題があったら3人で先生のところへ聞きに行って。


そんなことができなくなるなんて絶対に嫌だ。


「絶対に嫌!」


私は叫ぶように言って、頭から布団をかぶったのだった。
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