彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

どうにかしなきゃ。


どうにかして、友達を作らなきゃ特別学級に入れられてしまう。


私は昨日お母さんの口から出かかった言葉を思い出していた。


『特別――』あの後に続く言葉は特別学級で間違いない。


小学校にも中学校にも高校にも、そういう子たちを受け入れる場所があるんだろう。


今までは周りには知っている子が沢山いたからよかった。


だけど、今回は今までとは違い、知らない子のほうが圧倒的に多い。


その中で生活していくことがこんなに大変なことだなんて、思ってもいなかった。


自分の考えの甘さに焦りと絶望が入り交じる。


私はとにかく暗くならないように、笑顔でクラスに馴染むことにした。


人のことを覚えない上に暗い顔をしていては、本当に誰も友人にはなってくれなくなってしまう。


「でね、昨日さぁ」


「あはは、面白いねカリンちゃん」


声が低くて少し東北の訛りがあるのがカリンちゃん。


「昨日のドラマみたぁ?」


言葉の最後を伸ばす癖があるのがトオコちゃん。


「っていうかぁ」


会話の最初に必ず「っていうかぁ」と付けるのがアキエちゃん。


次々と声をかけられて私の頭はパンク寸前だ。
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