彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

外はよく晴れていた。


見上げてみると頭上は雲一つない日本晴れだ。


なんだかいいものを見た気分になって、足取りは軽くなる。


鼻歌まで歌いながら学校へ向かい、A組の教室へ入っていった。


誰とにもなく「おはよう」と声をかけてみると、あちこちから「おはよう」と、挨拶が帰ってきた。


私は自分の頬が紅潮していくのを感じた。


ほらね、自分から声をかければちゃんと返事をしてくれる。


この調子で友達を作れば良いんだ。


なにも難しいことじゃない。


自分の席に座ると、今度は右隣の席の女の子が挨拶をしてくれた。


「おはよう」


その声は鈴の音のようで、少しの間耳の奥に残り、そして消えていった。


「おはよう。私、矢沢知奈」


そう言って右手を差し出すと、すぐに握り返してくれる。


「私は飯田雪。よろしくね」


「雪ちゃんって呼んでいい?」


「もちろん。私も知奈ちゃんって呼ばせてもらうね」


そう言い、2人で笑い合う。


きっと私達は馬が合う。


そう思い、私は嬉しくなったのだった。
< 2 / 141 >

この作品をシェア

pagetop