彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
イジメ
高校に上がって1っヶ月半が過ぎていた。


教室内では仲のいいグループが出来上がっていて、クラスカーストも出来上がっていた。


そのどのグループの中にも私は属していなかった。


ただみんなのことを遠くから見ているあぶれ者。


それだけならまだよかったかもしれない。


クラスメートの顔も先生の顔もろくに覚えられない私は『バカ』というレッテルをはられることになってしまったのだ。


重たい気持ちで学校へ向かうと机にラクガキをされていた。


『バカ』


『記憶力なし女』


『クズ』


こんな私はカーストトップの子たちからすれば格好の遊び道具になるのだろう。


後ろからクスクスと笑い声が聞こえてきて、それは坂下さんと上地さんのものだとすぐにわかった。


だけど私は振り返らずに雑巾で机を拭いた。


「知奈ちゃん」


時々鈴の音が私に声をかけてきたけれど、それは心配そうな声色でいつも震えていた。


せっかくのキレイな声が私のせいで震えている。
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