彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「知奈ちゃん、おはようございます」


特別学級へ入った途端景子が礼儀正しく声をかけてくる。


「おはようございます、景子ちゃん」


そう言って私は景子ちゃんの隣の席に腰を落ち着かせた。


特別学級の生徒たちはみんな真面目で、ホームルーム開始までまだ20分はあるというのにみんなすでに登校してきていた。


みんなそれぞれ好きなように時間を使っていて、時々明るい笑い声も聞こえてくる。


ひときわ大きな声で会話をしているのは金髪男子。


みんなからキンパと呼ばれている。


「みんな今日も元気だなぁ、さっさと席につけぇ!」


大田先生が教室に入ってきて声をかけるまで、みんな騒ぎっぱなしだった。


「1年A組は今日の午後移動教室がある」


そう言われて私は背筋を伸ばした。


今日からさっそく移動教室なんてついてない。


せっかくここで勉強することができるようになったのに。


そう思ったが、どうにか顔に出さずに住んだ。


大田先生へ向けて笑顔で頷く。


それから先生は他のクラスの状況も説明し始めたのだった。
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