彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
正直、特別学級での授業は本当に進んでいて追いつくだけで必死だった。


だけど隣の景子ちゃんはわからないところがあれば丁寧に教えてくれるし、みんなそれを待っていてくれる。


私がみんなの授業を中断させてしまっているという罪悪感はあったが、どうにかそれで追いつくことができそうだった。


「特別学級っていうより、特別進学クラスみたい」


1人化学室へ向かいながらポツリとつぶやく。


だけど進学クラスは別にあるから、やっぱりあのクラスには病気で馴染めない子たちが集まっているのだ。


そうこう考えているうちに化学室の前までやってきて、私は足を止めた。


中からはすでに生徒たちの声が聞こえてきて、心臓が早鐘を打ち始める。


みんな先生から事情は聞いているはずだ。


なんて言うだろうか?


それとも、私のことなんて無視するかもしれない。


そうだ、きっとそっちだ。


A組にいた時は存在感だってなかったし、私ができることと言えば人を不愉快にさせるくらいなことだったし。


思い出して暗い気持ちになりながらも、私は化学室の戸を開いた。


その瞬間教室中が静かになる。
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