彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
声がした方へ視線を向ける。


誰だろう?


同じ中学の子だろうか?


他のクラスに知っている子が何人かいるから、その子たちなのかもしれない。


当時からの知り合いならきっと大丈夫だ。


そう判断した私は「えっと、誰?」と質問した。


小首をかしげ、そして笑顔でだ。


相手が少しでも返事に困らないように配慮したつもりだった。


しかし相手は一瞬沈黙してそれから「なにそれ?」と言ったのだ。


傷ついたような、鈴の音で。


その声に私はハッと息を飲んだ。


「え、雪ちゃん?」


今の鈴の音は間違いなく雪ちゃんだ。


休憩時間のたびに何度か会話するようになった雪ちゃん。


でも、さっきの声は全然違うものに聞こえた。


どうして……?


混乱して唖然としていると、雪ちゃんの隣にいる子が「誰?」と、雪ちゃんに聞いているのが聞こえてきた。
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