彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
居心地の悪さを感じながら自分の席へと向かう。


「あんた、特別学級にいるんだって」


6人用の机に向かっている最中、そう声をかけられた。


これは坂下さんだ。


後ろには上地さんもいるみたいだ。


私は言葉につまり、その場に立ち止まってしまった。


「それってどうして? バカだから?」


上地さんが大きな声でそう言うと、教室内がどっと湧いた。


私はうつむいて下唇をかむ。


でも、それでは今までとなにも変わらない。


いけないと思いすぐに顔を上げた。


そして2人へ向けて微笑み返す。


2人は少したじろいだのか後ずさりをした。


「見ててイライラするんだよお前! 全然人のこと覚えないし!」


上地さんは怒鳴るように言うと、私の肩を押した。


私は体のバランスを崩し、化学の教科書やノートと落としてしまった。


バサバサと音を立てて床に散乱し、それを2人で踏みつけにされる。
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