彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「うん。ほら、普通のクラスでもあるでしょ委員とか、係。あれがね、特別学級にもあるの」


「あらそうなの。それで花壇係はどうだったの?」


「いろいろな花が咲いてたよ。チューリップに芝桜に。梅雨時期になるとあじさいも咲くんだって!」


花壇のことを思い出すと自然に彼のことも思い出して、声のトーンが高くなっていく。


「そうなの。それで、その係で楽しいことがあったのね?」


目ざとく気がついたお母さんに私ははたと我に返って口を閉じた。


危ない危ない。


この調子で全部しゃべらされるところだった。


「花がとてもキレイだったって話だよ」


私はすぐに誤魔化して、ポテトサラダ作りに専念したのだった。
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