彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

「知奈ちゃん、今日はすごく機嫌がいいね」


昼休憩中、机をくっつけてお弁当広げていたところ、景子ちゃんにそう言われて私はむせてしまいそうになった。


昨日お母さんに似たようなことを言われたばかりで、ニヤけてしまわないように気をつけていたのに、全部顔に出てしまっていたみたいだ。


「そ、そうかな?」


「そう。昨日よりもずっと」


「き、昨日は初めてこの教室で勉強したから緊張したんだよ」


嘘じゃなかったけれど、うまくごまかせたと思う。


景子ちゃんも昨日は緊張していたみたいで、今日はすごく自然な話し方をしている。


「そっか」


景子ちゃんも納得したようで、それ以上深い追求はしてこなくてホッと胸をなでおろす。


「知奈ー! お前今日も花壇係?」


その声はキンパだ。


私は振り向いて頷く。


「なんでだよ。花壇係はローテーションだろ?」


そう。


花壇係は毎日同じ生徒がするのではなく、特別学級の生徒が日替わりで行うのだ。


それを私は今朝先生に無理を言って自分の番にしてもらったのだ。


正しい順番で行けば今日はキンパの番だった。
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