彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「まぁ俺はいいんだけどさ。水やりとかめんどくさいし」


頭の後ろに両手を回して鼻歌まじりに言う。


「キンパは花が嫌いなんだよ」


景子ちゃんが横から教えてくれた。


「え、なんで?」


「俺花粉症なんだよ」


キンパはそう言うと大げさに鼻をすすり上げてみせた。


花粉症なら花が嫌いでも仕方がない。


でもあんなにキレイなものを愛でることができないなんて、ちょっと残念な気もする。


「私花大好きなの。本当なら明日も明後日も、ずーっと世話をしていたいくらいだよ」


少し大げさにそういうと、景子ちゃんが「それなら先生にそう伝えてみたらどう?」と言ってきた。


「え? でも、私のわがままだし」


今日も花壇係りをやれるだけで感謝しなきゃいけない。


「そんなの関係ねぇよ。ちょっと俺聞いてみる」


キンパは止める暇もなく、1人で教室を出ていってしまったのだった。
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