彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

失敗してしまった。


学校までの道のりは日本晴れがとてもキレイで心地よかった。


だけど帰り道の今、同じ日本晴れが憎々しい。


雲一点ない青空に見下され、笑われている気さえする。


確かに今日はいい感じだった。


新しい友だちができるかもしれないと、期待もあった。


でも、途中で大きな失敗をしてしまった。


まさか雪ちゃんが色々な声を操れる子だなんて、想像もしていなかった。


それが原因で相手を認識できなくなって、結局怒らせてしまうことになるなんて……。


「こんなんじゃ社会に出られないよ」


1人の帰り道ポツリとつぶやく。


それはいつも両親が私に対して心配していることだった。


人の顔を認識できない私が、外へ出て働くことができるのか。


普段は人の体型や声で相手を認識しているけれど、いつまでも変化しないものなんてない。


体型は変わるものだし、声だって、今日の雪ちゃんのようなケースもある。


かろうじて自分と両親の顔の判別はつくけれど、他の人達の判別は難しかった。
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