彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

翌日、私は午前中だけA組のクラスで勉強することにした。


無理をしなくてもいい。


だけど少しだったら頑張れるかもしれない。


昨日の彼の言葉を思い出して、自分で決めたことだった。


A組の教室へ入ると静まり返ったあと再びあの嘲笑が聞こえてきた。


その途端心臓が早鐘を打ち始めて全身が熱くなる。


早足で自分の机へ向かうと、今度はスッと体温が低くなっていくのを感じた。


昨日と同じようなラクガキがされているが、今日はそれが少し増えているようだ。


3人以外の筆跡もある。


誰かがあの3人に便乗したことがわかった。


私は下唇を噛み締めて雑巾で机を拭いていく。


ラクガキはすぐに消すことができたけれど、心の傷は簡単には消えない。
< 68 / 141 >

この作品をシェア

pagetop