彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆
「好きな人でもできた?」
お母さんからの一言は的確についてくるものだった。
晩酌をして赤い顔になっていたお父さんが少しむせて視線をこちらへ向ける。
「な、なんで!?」
動揺してうまく舌が回らなくなって、箸を床に落としてしまう。
あわあわと箸を拾っているとお父さんに「そうなのか?」と聞かれた。
「えっと、それは、えっと……」
こういうときどうすればいいんだろう?
素直に言うべき?
それとも隠して、友達に相談するのが正解?
わからなくて返事ができないでいると、途端にお父さんがさみしげな表情になった。
「そうか。そういう年齢になったんだな」
なんてしみじみ言うものだから「勝手な片思いだから!」と、思わず声を大きくして言ってしまった。
それを聞いたお母さんが目を輝かせる。
「それってどんな人? 素敵な人なんでしょう?」
好奇心一杯のその瞳はまるで子供がオモチャを見つけた時みたいだ。
「もう、お母さんには関係ないでしょう?」
「そんなことないわよ。お母さん、応援しちゃうから!」
お母さんはそう言って、拳を天井へ突き上げたのだった。
「好きな人でもできた?」
お母さんからの一言は的確についてくるものだった。
晩酌をして赤い顔になっていたお父さんが少しむせて視線をこちらへ向ける。
「な、なんで!?」
動揺してうまく舌が回らなくなって、箸を床に落としてしまう。
あわあわと箸を拾っているとお父さんに「そうなのか?」と聞かれた。
「えっと、それは、えっと……」
こういうときどうすればいいんだろう?
素直に言うべき?
それとも隠して、友達に相談するのが正解?
わからなくて返事ができないでいると、途端にお父さんがさみしげな表情になった。
「そうか。そういう年齢になったんだな」
なんてしみじみ言うものだから「勝手な片思いだから!」と、思わず声を大きくして言ってしまった。
それを聞いたお母さんが目を輝かせる。
「それってどんな人? 素敵な人なんでしょう?」
好奇心一杯のその瞳はまるで子供がオモチャを見つけた時みたいだ。
「もう、お母さんには関係ないでしょう?」
「そんなことないわよ。お母さん、応援しちゃうから!」
お母さんはそう言って、拳を天井へ突き上げたのだった。