彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「昨日佳太くんと一緒にいたでしょ」


そう言われて私はキョトンとしてしまう。


佳太くんって誰だろう?


「しらばっくれてんじゃねぇよ! 昨日の放課後花壇にいただろうが!」


私の態度が気に入らなかったようで耳元で怒鳴られて萎縮する。


身を固くした時、『花壇』という単語が聞こえてきて私は「え?」と聞き返していた。


「佳太って、あの私服の人?」


「はぁ? あんた名前も知らずに話してたの?」


坂下さんは呆れているようだ。


私は素直に頷いた。


学校内をいくら探してみても見つからないし、もしかしたら他校の生徒かもしれない、なんて思っていたところだ。


でも、坂下さんが名前を知っているということは、やっぱり同じ学校の生徒なのだろう。


そしてこれほど怒っているところを見ると、彼が人気者であることが伺いしれた。


「あんた佳太くんとどんな関係なの? あんな場所で2人きりでさ」


そう言われて慌てて左右に首を振った。


「なにもないよ。ただ、水やりをしていたときに偶然会っただけ」


私のせいで彼の評判が落ちることは避けたい。


下手をすると彼までイジメられてしまうかもしれないし。
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