彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
「なんであんたが花壇の水やりなんてしてんのよ」


聞かれて、私は仕方なく花壇係りについて説明した。


途端に坂下さんは大声で笑い始める。


「花壇係ぃ!? なにそれ小学生かよ! やっぱり特別学級のやつらバカばっかんなんじゃん!」


お腹を抱えて笑い転げる坂下さんを見ていると、特別学級の仲間たちを思い出した。


景子ちゃんに大田先生にキンパ。


他のみんなもとてもいい人ばかりだ。


とても病気や悩みを抱えているようには見えない、快活さがある。


「そんなことない。みんなすごくいい人たちだよ」


私は拳を握りしめて言った。


だけどそんな言葉は坂下さんには届かない。


坂下さんはさんざん笑ったあとふと真面目な雰囲気に戻り「とにかく、佳太にこれ以上近づかないでよ」と、私に忠告をしてきたのだった。
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