彼の顔が見えなくても、この愛は変わらない
☆☆☆

久しぶりにA組で食べるお弁当はどこか格別な味がした。


友達に囲まれて食べるご飯はどんなものでも美味しく感じられる。


「じゃあ、今日はまた特別学級へ行くの?」


「うん」


「そうなんだ。ねぇ、特別学級ってどんな感じ?」


「えっと、特別学級にも種類があって、私が行っているのは見た目じゃわかりにくい病気を持っている子たちのクラスで――」


そこまで言って、しまったと口を閉じる。


隣に座っている雪ちゃんへ視線を向けると、雪ちゃんはゆっくりと頷いてくれた。
今ので私が病気であることを告白したことになる。


けれど友人らから深い追求はなかったので、特別学級について話を勧めた。


「みんな優しくて、すごく勉強ができるの」


「だから知奈ちゃんも授業の時迷いなく答えられるんだね」


「いいなぁ! 私も頭よくなりたい!」


1人がそう言って両手で頭を抱えて嘆くので、みんなして笑った。
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