SEASON
教室へ行くと見知った顔も何人かいた。
「あずちゃん、瑠花ちゃんおはよー」
「おはよー!!」
私たちはクラスの子と挨拶を交わしながら、いつもの特等席に向かう。
窓際の一番後ろ。
この席は一年生の時からお気に入りで、風もよく通るし気持ちいい。
私が一番後ろで瑠花がその前に座るのがお決まりだった。
しかしいつもの席に向かうとすでに誰かが座っていた。
私と瑠花はあそこに座っているのが誰なのか分からず、近くにいた人に聞いた。
「ねえ、一番後ろに座っているのって誰?」
「えーっと。中村君じゃないかな?」
「中村なに君?」
「忍くん」
中村忍君・・・
どこかで聞いたことのある気がするけど、思い出せなかった。
そのせいなのか、ちょっとした興味からなのか、私は無意識のうちに中村君がいる席へ歩き出していた。
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