Tear Flowers〜Remember Me〜

「ところで、レティシアは今日もいないのか？」

フリージアが訊ね、全員の視線がレティシアのデスクへと向けられる。ファッション誌が並べられたそのデスクには、いつも通り笑うレティシアはいない。

「リーマスさんによく会いに行っているみたいなんだ。カウンセリングをしている時も、「あの人は間違いなくリーマスだ」って何度も言ってた」

レイモンドが深刻そうな顔で言う。レティシア本人は過去に自分が出会ったリーマスだと思っているが、同姓同名の花屋で働くリーマスは別人だと言っている。ストーカーだと思われたり、予期せぬトラブルを引き起こしかねない状態だ。

「何とかできないですかね」

サルビアが考える。しかし、少し落ち着くようにと休暇を与えても、リーマスだと信じ切っているレティシアは彼に会いにいくのは誰もが予想できる。その時、エヴァンが「そうだ！」と言い手を挙げた。

「リーマスさんのことを調べましょうよ！過去を調べれば、彼がレティシアさんの記憶にあるリーマスさんとは別人だということがはっきりします」