Tear Flowers〜Remember Me〜
しかし、犯罪事件の容疑者でもない人物の過去を調べるなど、普通は許されないことだ。フィオナはそれを口にしようとしたものの、シオンが先に言う。

「私たちは特殊捜査チーム。犯罪者でなかろうと調べることが許される。パソコンは使わず、それぞれ持った能力だけを使って調べよう!」

「はい!!」

それぞれ返事をし、早速リーマスのことを調べようと動き始める。フィオナの肩をエヴァンが触れた。

「フィオナ、一緒に調べに行こう」

「……わかった」

何故か、フィオナの胸にドクンと嫌な予感が走る。何故なのかはわからない。しかし、リーマスの過去には触れてはいけないものがあるような気がする。

(これが気のせいであればいいんだけど……)

無表情に考えるフィオナの隣で、エヴァンはニコニコと微笑んでいた。

部屋を出て、フィオナとエヴァンは情報を収集するためにリーマスが住んでいる街に向かうことにした。駅まで話しながら早めに歩いていく。

「フィオナはリーマスさんのこと、どう思う?」

エヴァンに訊ねられた時、フィオナの頭に蘇ったのは、あの時リーマスが見せた悲しげな表情だった。一体、あれは何を意味していたのだろうか。
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