Tear Flowers〜Remember Me〜
「二人が無事でよかったよ」

レイモンドが笑い、フィオナたちは頷く。その時、ずっと黙っていたリーマスが口を開いた。

「……僕を助けなくてもよかったのに。彼女だけでよかったのに……」

「どうして……」

レティシアがリーマスを見つめる。リーマスはどこか悲しそうだった。

「やっと、この人生から解放されるって思う気持ちもあったんだ。マフィアという道を歩いていなくても、父親の存在がある限り、僕はマフィアという呪いを背負っていかなきゃいけない。幸せも、喜びも、感じちゃいけないんだ……!」

彼はきっと、生まれてきた自分をずっと呪い続けていたのだろう。フィオナの胸が痛み、その痛みを察したのかエヴァンがフィオナの手を包む。

静まり返る森の中、口を開いたのはレティシアではなくシオンだった。

「ならば、その呪いを私に断ち切らせてほしい」

「どういうことですか?」

レティシアの問いに、シオンはサルビアを見つめる。サルビアは「あれですね!」と言いながら一枚の紙を取り出し、リーマスに差し出した。
< 37 / 40 >

この作品をシェア

pagetop