Tear Flowers〜Remember Me〜
「見たいもの、安かったから全部借りてきちゃった」

「他にはどんなものを借りてきたんですか?」

フィオナがレティシアに訊ねると、DVDが入った袋を渡される。中に入っていたのは、全て恋愛ドラマだった。

「レティシアさんは恋愛ドラマがお好きなんですね」

フィオナがそう言うと、レティシアは頰を赤く染めて笑う。その顔は無邪気な子どものようだ。

「もちろん!恋をすると人は輝いて綺麗になれるのよ!」

「本当ですか!?」

フィオナではなくエヴァンが真剣に訊ね、フィオナは首を傾げる。レイモンドたちはそれを微笑ましげに見つめ、フィオナはますますわからなくなってしまった。

家族からの愛情がわからなくなってしまったフィオナにとって、恋愛ドラマというものは一番わからないジャンルだ。恋愛ドラマには、嫌というほど「好き」や「愛してる」が登場する。その言葉の意味、感情、それらをフィオナは知らない。

しかし、レティシアがせっかく借りてきてくれたのだから、大人しく見ようと画面を見つめる。
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