その甘いキスにご注意を ~鬼上司の顔の裏に隠された深い愛情と激しい熱情~
二重で、涙袋もある。
鼻筋は真っ直ぐに通っているし、唇は薄くも厚くもなく、整った形をしている。

……私はこの顔に満足していない。

じっと鏡を見つめた後、私はさらに鏡に顔を近づけてそこに映る自分の顔を凝視する。
見つめれば見つめるほど不細工に見えてくる私の顔。
それでも私は鏡を見つめ続けた。

あーあ。
仕事でずっと液晶画面を見ているからかな、目の周りの筋肉が引きつって釣り目になっている。
いつも整えているはずの眉毛、私が理想としているラインを越えて一本、無駄なものが生えている。
昨日よりも二重幅が狭まっているな、年を取っていく証拠に瞼の皮膚が垂れてきたのだろうか。
あと何度も洗顔してクレンジングをしても取れない、この鼻の横の黒ずみ。
これはどうしても皮脂や汚れが溜まりやすい場所だし、皆綺麗ではないことはわかっているけれど、それでもどうしても納得いかない。
唇を縦に走るこの僅かな皺も、私にとっては『汚れ』にしか思えない。

見れば見るほど落ち込んでくるのに、私は毎日こうして鏡を除くのをやめられない。
短く浅い溜息をついた後、私は鏡から離れてバスルームを出た。
後でタレ目マッサージを……あと、少しエラも張ってた気がするな、エラ張り解消のマッサージも調べなきゃ。
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