その甘いキスにご注意を ~鬼上司の顔の裏に隠された深い愛情と激しい熱情~
それはあまりにも唐突すぎる出会いだった
たくさんの人でごった返している食堂の中を、私は迷わず進む。
向かった先は、イタリアンの料理が売られている場所。
私はいつもここで、イタリアンの料理を頼んでいる。
なんでかって?
そりゃあ、私のイメージよ。
会社の中での私のイメージ。
それは、
①仕事ができる
②美人
③お洒落
この三つ。これだけはとりあえず死守しなきゃならない。
列に並んでスマホをいじりながら自分の順番を待つこと数分、私の順番がきて、店員の人に注文を聞かれた。
「カルボナーラを一つお願いします」
会計を済ませて受け取り口の方に移動する。
カルボナーラを渡された私は、クルリと混雑している席の方へと目を向けた。
いつも通り混んでるな……席が空いているといいんだけど。
暫く歩いて開いている席を探す。
案外早く見つかった。
通路の近くの、端っこの方に席が二つ並んで開いているところがある。
そこに向かい、料理と一緒に受け取ったからのグラスに、近くのウォーターサーバーから水を注ぐ。
「いただきます」
フォークを手に取り、パスタを2、3本絡めて巻き、口の中に入れる。
うん、美味しい。
美味しいけど……最近イタリアンばっかり食べてるな。そろそろジャンクフードが食べたくなってきた。
でも、これも私のイメージづくりのため。
今日帰りにコンビニでもよって何か買って帰ろ。
そんなことを考えながら食事を続けていると、横から声をかけられた。
「すみません、隣いいですか?」