その甘いキスにご注意を ~鬼上司の顔の裏に隠された深い愛情と激しい熱情~
「そういえばさ、瑠香ちゃんっていつもこうして一人でランチ食べてるの?」

体に微量の電流が流れた感覚がした。
なんなのよこの人は!?
いきなり、それもあったばかりの人の下の名前をちゃん付けで呼んで、しかも私が気にしてることに踏み込んできて。

「そうですよ」
「へ~、そうなんだ」

感情の読めない返事。
なによ、そっちが聞いてきたことじゃない。
イライラを誤魔化すように、私は一口パスタを頬張る。

「僕もさ、ほとんど一人でご飯食べるんだよ」
「そうなんですか」

あ、やば。少しイラっと感が声に出てしまった。
恐る恐る田浦さんの横顔をうかがってみると、彼は私の声音の変化に気づいていないみたいだ。
ほっと肩を撫でおろす。

「営業部の中でも、僕は外回りが特に多いからね。コンビニに寄って何か買ったり、そのまま外食することもざらにあるんだよ」
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