白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
誰しもが口を閉ざすよう国王が命じるの待って顔を向ける。
王が立ち上がった。
同時に閉ざされていた扉が開かれる。姿を見せたのはマーガスだった。彼は真っすぐに王の元に歩み寄って片膝をつく。
「このような神聖な場への闖入にて大変失礼致します。現国王であり我が父でもあるグスタフ・リエドリア・アーネスト・フォン・ラディンベルドより、この私マーガス・フォン・ラディンベルドが正式に王位の譲渡を受けましたことを急ぎご報告に参りました」
マーガスの言葉に場の空気が一転して騒めきたった。国王はそれを右手を掲げることだけで粛清し、立つようにとマーガスを促す。それから静かな、しかし良く通る声で問いかけた。
「グスタフ陛下は病に臥せっているという話だったが、そのご容態に異変でも?」
「いいえ。どちらかと言えば体調は良くなって来ております。しかし代わりに、我が国の王家そのものが病魔に蝕まれつつあります故、腐った細胞を取り除かねばならないとご決断をされたのです」
「なるほど。事情はあい分かった。してこの場に乗り込んで来たのは王位を継いだ報告だけではあるまい」
「国王になるとは言え、私などまだまだ若輩の身。陛下にも国王が何たるものか、ご指導いただければ幸いにございます。その先駆けとして――」
マーガスの目が、衛兵二人がかりで未だ抑え込まれているスタンレー公爵に向けられる。
感情の読み取れない表情と声で用件を告げた。
「前王弟フランツから、アレックス・スタンレー公爵と共謀して王位簒奪を狙っていたとの証言も得ましたので、公爵の身柄の引き渡しを要求致します」
王が立ち上がった。
同時に閉ざされていた扉が開かれる。姿を見せたのはマーガスだった。彼は真っすぐに王の元に歩み寄って片膝をつく。
「このような神聖な場への闖入にて大変失礼致します。現国王であり我が父でもあるグスタフ・リエドリア・アーネスト・フォン・ラディンベルドより、この私マーガス・フォン・ラディンベルドが正式に王位の譲渡を受けましたことを急ぎご報告に参りました」
マーガスの言葉に場の空気が一転して騒めきたった。国王はそれを右手を掲げることだけで粛清し、立つようにとマーガスを促す。それから静かな、しかし良く通る声で問いかけた。
「グスタフ陛下は病に臥せっているという話だったが、そのご容態に異変でも?」
「いいえ。どちらかと言えば体調は良くなって来ております。しかし代わりに、我が国の王家そのものが病魔に蝕まれつつあります故、腐った細胞を取り除かねばならないとご決断をされたのです」
「なるほど。事情はあい分かった。してこの場に乗り込んで来たのは王位を継いだ報告だけではあるまい」
「国王になるとは言え、私などまだまだ若輩の身。陛下にも国王が何たるものか、ご指導いただければ幸いにございます。その先駆けとして――」
マーガスの目が、衛兵二人がかりで未だ抑え込まれているスタンレー公爵に向けられる。
感情の読み取れない表情と声で用件を告げた。
「前王弟フランツから、アレックス・スタンレー公爵と共謀して王位簒奪を狙っていたとの証言も得ましたので、公爵の身柄の引き渡しを要求致します」