白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
15. 後ろ向きで前に歩く覚悟
ロゼリエッタはシーツに包まってじっとしていた。
ベッドに入ったのはどれくらい前のことだったろう。眠ろうと努力はしている。けれど目を閉じてもすぐに薄闇の世界に戻って来てしまうのだ。
どれだけ足掻いたって、クロードとの婚約は解消の方向に進んでいる。
ロゼリエッタもそれを受け止め、そして変わらなければいけない。すぐにクロードへの想いを断ち切れないロゼリエッタでも、ダヴィッドは婚約者として受け入れようとしてくれていた。
でも。
だけど。
瞳に涙が潤んだ。堪え切れず涙をこぼすと嗚咽がとめどなく込み上げて来る。
「クロ……ド様。クロード様……っ」
縋るように名前を呼んでも誰も応えてくれない。
クロードの前で泣いたことなどなかったから、こんな時どう慰めてくれていたのか思い出すこともできなかった。
日が経つほどに気がついてしまう。
婚約者になってから、婚約者らしいことの思い出が何もない。
レオニールの友人として訪ねて来てくれていた時。婚約者になってから。どちらもクロードの態度は変わりなかった。ロゼリエッタはいつだって、あくまでも妹のような存在でしかなかったのだ。
そんなことは分かっている。
決して、同じ形の愛を返してはもらえない。
そんなことくらい痛いほど分かっている。
でも、それでも好きなのは仕方ないではないか。
もう忘れることを決めた。でも、そうすると決めただけだ。その程度で忘れられるはずなどないことは、それこそいちばん分かっている。
ベッドに入ったのはどれくらい前のことだったろう。眠ろうと努力はしている。けれど目を閉じてもすぐに薄闇の世界に戻って来てしまうのだ。
どれだけ足掻いたって、クロードとの婚約は解消の方向に進んでいる。
ロゼリエッタもそれを受け止め、そして変わらなければいけない。すぐにクロードへの想いを断ち切れないロゼリエッタでも、ダヴィッドは婚約者として受け入れようとしてくれていた。
でも。
だけど。
瞳に涙が潤んだ。堪え切れず涙をこぼすと嗚咽がとめどなく込み上げて来る。
「クロ……ド様。クロード様……っ」
縋るように名前を呼んでも誰も応えてくれない。
クロードの前で泣いたことなどなかったから、こんな時どう慰めてくれていたのか思い出すこともできなかった。
日が経つほどに気がついてしまう。
婚約者になってから、婚約者らしいことの思い出が何もない。
レオニールの友人として訪ねて来てくれていた時。婚約者になってから。どちらもクロードの態度は変わりなかった。ロゼリエッタはいつだって、あくまでも妹のような存在でしかなかったのだ。
そんなことは分かっている。
決して、同じ形の愛を返してはもらえない。
そんなことくらい痛いほど分かっている。
でも、それでも好きなのは仕方ないではないか。
もう忘れることを決めた。でも、そうすると決めただけだ。その程度で忘れられるはずなどないことは、それこそいちばん分かっている。