りんじん彼ジョ。~隣のお姉さんに襲われました~大人女子×専門学生



声の主の方へ顔を向ければ、壁に寄りかかるコウ君の姿が目に入る。



「あんな簡単に相手の元に帰らせて」


続けられた、この子の声がやけに冷たく感じる。
"簡単に"って……全然簡単じゃなかったけど、言い返す気力もなくて小さな息が漏れた。



「あー、変な所……見られちゃったね」


なるべく冷静を装うって声を出したつもりだったけど、鼻がツンとして声が震えた。

本当に、この子には格好悪いところばかり。




「泣く位なら、何で帰らせたんですか」


あの関係を続けていた頃でさえ泣いた事なんて無かったのに。

何で、今更。熱い何かが頬を伝うのか。



「引き留めればよかったじゃないですか」

「……っ、キミも帰って」


喉が痛い。目が熱い。

自分から切り出した別れなのに。



「帰ってってば!!」


感情がコントロール出来なくて、涙が溢れ落ちて止まらない。



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