りんじん彼ジョ。~隣のお姉さんに襲われました~大人女子×専門学生
彼氏じゃないけど/sideケーコ
「あーりーえないっ!!」
「はい。すみません……」
ミサキ先輩が呆れたように眉をつり上げて、棘のある声を発した。先輩の右手には小さな花束が持たれていて、仕事帰り直でお見舞いにきてくれたようだ。
目が覚めると白い天井が視界に入って、私は固くて白いベッドの上に横になっていた。
頭に右手を当てれば何かが巻かれていて、それが包帯だという事はすぐに分かった。
「木村さーん。目覚めました?」
「え、あ、はい!!」
女の人の声に、慌てて身体を起こせば後頭部がズキンと傷んで、経緯をその看護婦さんから聞かされる事となる。
記憶があまりないものの、途切れ途切れの昨日の出来事を思い出しても情けなくて穴に入ってしまいたい位だ。
「でも。朝、頭切って入院したって話をさ、聞いた時はびっくりしたけど」
「……」
「ケーコちゃんが無事で良かったよ」
ミサキ先輩の事だ。退院したら笑い話のネタにされるだろうな。
コウくんにも、物凄い迷惑をかけちゃったし……。
もう、溜め息しか出てこない。