金平糖の甘い罠
恵と涼
「おめでとうございます!
妊娠5週目です。」
山中 恵、結婚5年目の28歳。
3年前に長女、鈴を出産し、夫の涼と三人で、平凡ながら幸せな日々を過ごしていた。
涼とは高校の同級生、21歳の時に同窓会がきっかけで付き合うようになった。
高校の時の涼とはあまり接点はなかったが、同窓会ではお酒の力もあってか、昔話に会話が弾んだ。
酔っ払っていた恵の隣には、気がつけばずっと涼がいた。その時に連絡先を交換していたが、恵は覚えていなかった。
何度か2人でデートを重ね、付き合うようになった。
ただ、当時大学生の涼と社会人の恵、同じ歳だが社会人の恵からみたら、少々子供っぽい涼とはあまり合わない感じがしていた。
涼の自由奔放な言動に振り回され、何度別れようと思ったか分からない。根本的にやはり合わないのだろう。
ただ、仕事で疲れている時や、落ち込んでいる時は、涼はいつも変なことを言って笑わせてくれていた。
恵にはない天真爛漫な所や、いつも明るく楽しませてくれる涼をみていると、自然と笑顔になれた。