金平糖の甘い罠
妊娠
 そんな両隣とのお付き合いが順調に進む中、恵は2人目を妊娠した。
鈴が3歳を過ぎた頃だった。

恵は鈴を出産した後、3度の流産を繰り返していた。

 3度目となる流産は、胞状奇胎という異常妊娠で手術をし1年間妊娠は禁止と言われていた。
何度も泣いた。
鈴が産まれてきてくれた事は奇跡なんだと。
 そんな中、解禁からの妊娠だった。

『また流産するかもしれない。』

 嬉しいはずの妊娠が、恵にとっては無事に産まれてきてくれるまでは不安でしか無かった。

「おめでとうございます!
 妊娠5週目です」

産婦人科で心拍の確認をして、少しホッとした。
日に日に悪阻つわりが酷くなっていった。
毎日襲われる吐き気で一日中寝込んで生活する日々だったが、赤ちゃんが育っていると思うと、いつか終わる悪阻をも愛おしく思えた。

 2人目も実家近くの病院に通った。
実家までは電車で30分ほどの距離だ。
予定日の2週間前に実家にお世話になる予定にしていた。

 お腹が少しずつ大きくなっていく頃、鈴の様子もおかしくなっていった。
赤ちゃん返りというのだろうか、まだ産まれてもない赤ちゃんに焼きもちを焼いてるのか、よくグズって甘えてくるようになっていた。

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