金平糖の甘い罠
妊娠5ヶ月が過ぎた頃、産婦人科で性別が分かった。
「女の子ですね。」
恵には5歳年下の妹がいる。
子供の頃は年が離れているため、どちらかというと2歳年下の弟とよく遊んでいた。
大人になってからは5歳差というのは全く気にならず、妹とはよく連絡を取り合い、今は仲が良い姉妹になっている。
鈴も妹が産まれたら仲良しの姉妹になれるかな。と期待が膨らんでいた。
性別が分かると毎晩名前を考える日々、幸せな時間だった。
夫の涼はあまり名前に関心がなく、恵に任せている状態だ。
いつものように名付けの本を読みながら名前を考えていると、庭から涼の話し声が聞こえた。そっと窓を開けると、お隣のゆっこと話をしていた。
「恵は?」
「今、恵は子供の名前を考えている」
そんな会話が聞こえてきた。
あくまでも近所付き合い、涼も仲良くしてくれて良かったと恵は素直に思っていた。
悪阻も治まってきた頃、お腹も目立つようになっていた。
恵が妊娠中とあって、ゆっこや美代からのお誘いが少なくなっていた。
そんな気遣いが嬉しくもあり寂しくも感じた。