金平糖の甘い罠
 ある日、モデルルームとして使用していた105号室に新しい家族が入居してきた。
 こちらから挨拶に出向いた。

「104号室の山中です。よろしくお願いします。」

「矢野です。よろしくお願いします。」

 ものすごく上品でクールビューティな奥さんだ。お洒落で美人で、なんだか世界観の違いみたいなものを感じた。
 しかも矢野さんの子供は、同じ2歳の女の子だった。
 
 矢野さんの娘の菜々ちゃんはよく庭に出て遊んでいたので、鈴も庭に出る機会が増えていった。
 庭越しによく遊ぶようになり、家に来ることも増えてきた。そんな中でも矢野さんとは程よい距離を保っていた。
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