拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
須藤さんとの仕事も相変わらずスケジュールが厳しく、毎日が過ぎて行く中で、須藤さんの異動の噂を聞いた。
プロジェクトが始まるとき、途中で異動になるかも、と吉田さんが言っていたのは覚えているが、このタイミングでか、と不安が押し寄せる。須藤さんがいない状態でうまく進捗管理ができるだろうか。作業に詰まることはないだろうか、と次々に心配ごとが出てくる。

異動の時期は早くて来月だろう、とのことだったので、あと1か月の間に私なりにまとめておいて、須藤さんに確認しようなくては、と焦りが出てくる。そんなことを考えながら仕事をしていたら、すっかりお昼に行きそびれてしまった。

13時半になって、やっと席を立つ。売店で何か買ってこようとエレベータに乗ると、偶然に真田君に会った。真田君もお昼がこれからだというので、一緒に社食に行って食べることにする。

「忙しそうだね」

「真田君も」

「まあね。浦橋ほどじゃないけど。アイツ週の半分は現場行っちゃってて。ほとんどこっちにもこないし。会えてる?」

「今月に入ってからはあまり会えてないかな。現場って関西でしょ?出張の時は実家に泊まってるって言ってたから食事の心配とかはないけど・・・」

「アイツ、最近しょっちゅうあっち行ってるから、たまに話すと関西弁めっちゃ出てるんだよね」

「ほんと?私の話してるときはそんなことないと思うけど・・・気にならなかった」

二人で笑いながら話していると、お疲れ様、と私の横に、トンとトレイが置かれた。見上げると、和美が微笑みながら、ここいい?と言いながら座った。

「久しぶりだね」

「ホント。今度ご飯行こうよ」

「和美もお昼遅いね」

「うん、今週はちょっと忙しいかも」

二人で話していると、前に座ってる真田君が、あの、っと割って入ってきた。

「西田さん、ですよね。同期の真田です」

「こんにちは」

和美も笑顔で返すのを横目でみてながら、そうだった、と思います。真田君は和美狙いだったんだ。
すると、真田君もここぞとばかりに和美に話しかける。

「今度、お時間のあるとき飲みに行きませんか?満里ちゃんと一緒に」

「そう、ですね・・・」

和美が困ったように笑いながら私のほうをチラリ、とみるので、慌てて口を挟む。

「和美しばらく忙しいし、私も立て込んでるから、また私から連絡するよ」

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