拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「だけど、また明日から出張行っちゃうかもしれないんでしょ?このままだとすれ違っちゃうよ」

「・・・・・」

「まあ、いいや。とりあえず、浦橋くんに連絡だけはしておきなよ」

さっき携帯を見たら浦橋くんから何回か電話の着信があった。21時には二次会を抜けるとメッセージも来ていた。ずっと無視していたが、今日は友達の家に泊まること、今日は話したくないことを返信する。

するとすぐに着信があったが、やはり出る勇気はない。
着信音が鳴りやむと、すぐにメッセージがきた。

『月曜日の朝一にはまた現場に行かなくてはならないから、できれば明日中に話をしたい。会いたい』

そう書いてあった。

何と返信していいのかわからず、結局そのままにしてしまった。

翌朝、目が覚めると10時近かった。人の家なのに随分寝坊してしまった。

コーヒーの良いにおいが漂ってきて、キッチンに歩いて行くと、陽美ちゃんが気づき、ニコっと笑いながら言った。

「よく眠れた?」

「お陰様で。ごめんね、図々しく寝坊して」

「ふふっ。全然いいけど。明け方まで眠れなかったみたいだし」

陽美ちゃんが結構な勢いで缶ビールやチューハイを空けたと思ったら、コテっと眠ってしまい、私は一人でテレビを見たり本を読んだり時間を潰していた。

「少しはすっきりした?」

「・・・全然・・・」

逆に昨日よりモヤモヤが増し、不安も大きくなった。あれもこれも嘘だったんじゃないか、と疑う気持ちが大きくなってきて泣きそうになってきた。
それを陽美ちゃんに言うと

「あらあら。浦橋くんのこと信じられないの?」

「信じてるつもりだったんだけど・・・そういえば、研修のときは、お付き合いしている人がいるのに私にちょっかい出してきたりして、元々はいい加減な人だったのかな、とか・・・」

「ははっ。そんなことあったね。だけど、あれはしょうがないところもあったよね。
浦橋くんのこと庇うわけじゃないけど、満里ちゃんと牧野くんに付け入る隙が全く無かったし、牧野くんも、ここぞとばかり満里ちゃんにべったりだったからね」

ちょっと意地悪したくなっちゃったんじゃないかな、と苦笑いしながら陽美ちゃんは言った。

自分じゃわからないが、やはり私の気持ちも周りにはバレバレだったのだろうか。
だとしたら恥ずかしいが、今はそういう問題ではない。

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