拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「これからタケのところに行かれるんですか?
連日出張続きで大変ですよね。でも、出張中の食事は私がいつも私が支度しているので、栄養は取れていると思うんですけど」
出張中は、彼女の部屋に泊まってるということか・・・?・・・・
二股かけられているのだろうか。
元カノは元カノではなく、今も彼女で、私が浮気相手なのか・・・。だけど、あの日、二次会より私を優先しようとしてくれていた。私が浮気相手だなんて思いたくない。
付き合っていないとしても、食事は一緒に摂っているということだろうか。
出張中は彼女の手料理を毎日食べているのか。。
頭の中が真っ白になり、立っているのがつらくなってくる。
何も考えられなくなり、ぼんやりと彼女の顔をみると、胸元に光るネックレスが目に入った。
・・・見覚えがある。
確か・・・浦橋くんとスイーツバイキングに行った日、待ち合わせの時間前に立ち寄ったジュエリーショップに立ち寄った時に見たものだ。花をモチーフにした可愛らしいネックレスだ。同じお店で浦橋くんに会ったのだ。
私の視線を感じたのか、ネックレスをつまむと、これ、可愛いですよね。と、ニコっと笑った。
「あの日、二次会の日、タケが選んでくれたんです」
浦橋くんがプレゼントしたということか・・・。
「・・・そう、ですか・・・。あの、急ぐので、失礼します」
頭を下げて、元カノに背を向けると、今来た道を駅に向かって戻った。
殆ど逃げるように走り出し、駅に着くと、ちょうど到着した電車に飛び乗った。
スマホを出し、浦橋くんに体調がすぐれないので、今日は行けない、とメールをした。
逃げ出してしまった・・・・
確かなことはわからないのに、元カノと会い、二人の過去に嫉妬し、元カノが浦橋くんの部屋の側にいたことに不信感を持ち、出張中は元カノと過ごしていることを聞いてしまった今、浦橋くんのことを信じきれなかった。浦橋くんに会う自信が持てなかった。
その日からまた、浦橋くんのことを避けた。
仕事を詰め込み没頭することで、できるだけ浦橋くんのことを考える時間をなくした。
仕事が早く終わった日は、一人で田中さんのバーに行き、飲めもしないお酒を飲み、考えることから逃げた。
最初は毎日きていたメールもこなくなっていたが、毎晩電話の着信がある。
私の自分勝手な理由で避けているのに、話をしようとしてくれている。
やはり、誠実な人なのだろうか。私が疑っているような事実はないということなのだろうか。