拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
松本さんは真っすぐ私を見たまま、ごめんなさい、と言い、頭を下げた。

「・・・・・」

「この前お会いした時、タケに会いに行った帰りでした。でも、会ってくれなくて・・・」

「・・・・・」

「ご存じかもしれませんが、お互い就職してから遠距離になってしまい、すぐに上手くいかなくなって、以前のように優しくなくなった彼に対して不満ばかりぶつけて・・・。喧嘩ばかりの毎日に嫌気がさして、私から別れを告げました。

それからしばらくは連絡とることも、もちろん会うこともなかったのですが、最近では他の男性と比べてしまうことが多くなって。タケ以上の人はいなかったな、別れるなんて馬鹿な事したな、って後悔してたんです。

そんな矢先、タケが地元で仕事が入ることが多くなって、頻繁に戻ってきてると大学時代の友人から聞いていて・・・。
一度だけ仲間とみんなで食事したんです。」

「みんなで・・・」

「はい。タケ入れて6人です。
出張中はホテルに泊まることもあったみたいですが、食事が面倒で、実家に泊まることもある、と言ってました。
私はタケとよりを戻したかったのもあって、私の家のほうが近いし泊まりなよ、って誘ってみたんです。私も実家ですが、学生時代は何度か家に来たこともあって、家の両親も知っているので、問題ないからって。

・・・全く相手にされませんでした。
二人で会ってもくれないし、よりを戻したい、一度会いたい、ってメールしても、できないって。
よっぽど大事な人がいるんだなって思いました」

「・・・・・」

「新幹線で会ったのは偶然です。タケは二次会に出席で返事を出したけど、行くかどうか迷ってるようでした。出張続きで疲れているし、恐らく、あなたとの時間を優先したいのもあったのだと思います。私はそれを感じ取っていながら、せっかく大学時代の友人が集まるのに、って私が強引に誘って行くことになったんです。

あの時、佐多さんが部屋を訪ねてきたとき・・・すごく焦って、佐多さんに必死に話してるタケをみて、嫉妬しました。
佐多さんに信じてもらおうと、そのことばかりで、私のことなんて全く眼中にない様子でした。

4年も付き合ってたのに・・・ほんの数か月のこの人のほうが大事だなんて、認めたくなかった。
だから・・・3週間前偶然会ったとき、意地悪しました。わざと誤解されるようなこと言いました」

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