拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
それから、浦橋くんの家に話をしに行こうと思ったときに松本さんと会って言われたこと、先週、会社の前で待ち伏せされて話した内容を伝えると、苦しそうな顔して黙って聞いていた。

「俺は、別れた後、別れる少し前から満里子のことが好きで、彼女とのことは全部過去のことになってた」

「うん。わかってる。浦橋くんの気持ちが私に向いていることはちゃんと伝わってたよ。だから浦橋くんのことは信じられると思った」

だけど・・・

「だけど、気持ちが、どうしても整理できなくて・・・」

「・・・・・」

「最初、浦橋くんが二次会に行くとき、素敵な、いつもとは違うスーツ着て、髪の毛もちゃんとセットしてて、王子様みたいだった。すごくかっこよかった。隣に並んでる松本さんはピンクのワンピースがすごく似合ってて、小柄で可愛くて、お姫様みたいだった」

「大学の同級生だって聞いて、私の知らない過去を一緒に過ごした人なんだ、と思ったら・・・胸が苦しくなって・・・
 二人がとてもお似合いで、すごく嫉妬した。こんな醜い気持ちを浦橋くんに知られたくなくて、あの時、話をしていたら嫌なこと言っちゃいそうだったから・・・逃げ出したの。ごめんなさい。」

自分の醜い気持ちを言葉にするのが情けなくて、ツラくて、言葉に詰まる。
そんな私に向かって、浦橋くんはいつもと変わらない優しい声で言った。

「全部言って大丈夫だから。満里子の思ったこと教えて」

「・・・・部屋から二人が出てくるのを見て・・・」

「うん・・・」

「・・・二人が前日からずっと一緒だったんだって思い込んだ・・・。」

「・・・玄関までしか入れてない」

「・・・うん。わかってる。だけど・・・今回だけじゃなくて、出張中も何度か会ったり泊まったりしてるのかもしれないって疑った・・・」

「ほとんどが実家だよ。一度もそんなことしてない」

「それも、わかってる・・・。ごめんなさい」

「・・・いや、謝らなくていいから。それから?」

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