拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
体温計・・・どこかにはあったか、いや、めったに熱がでることがなかったので、常備してなかったかもしれない。
この土日、久しぶりに実家に行って、お母さんのご飯を食べてゆっくりすれば体調ももどるだろう、と思っていたのに、この調子じゃいけそうもない。

時計を見ると、まだ0時を過ぎたところだった。3時間は眠っていたということになるが、倦怠感はひどくなるばかりだ。
食欲はないが、喉が渇いたため、冷蔵庫をあけたが、見事に何もない。
仕方がないから水道水をがぶ飲みして、パジャマに着替えて再びベッドに入る。

しかし、体中が痛くて、全然眠れない。頭というか目がグルグル回って寝ていてもつらい。
やっとウトウトできたのは外が明るくなってきたころだった。

それから何時間たった頃、携帯がバックの中で震えてるのに気づき、トイレに行くついでに枕元に携帯を置いておいた。
着信履歴を見る元気もないが、もしかしたら浦橋くんかな、と思ったが、後で確認しよう、と思いながら再び布団をかぶった。

お昼ごろになり、やっと少しだけ体が軽くなった。熱が下がってきたのか、体が熱になれてきたのか、立てないほどではなくなっている。
食料を調達しないとな、今のうちに買い物に行くか、と悩んでいると、玄関のチャイムが鳴った。


モニターを確認すると、牧野くんらしき人が写っている。眼鏡を取ってきて再びモニターを見ても、やはり牧野くんのように見える。
何で牧野くんがこんなところに・・・不審に思いながら応答する。

「・・・はい」

「おう。大丈夫か?」

「はい?牧野くん?どうしたの?」

「どうしたの、じゃないよ。具合悪いんだろ。開けて」

何で知ってるんだろう。取り敢えず話を聞こうと、ロックを解除する。

自分の格好を見下ろし、ヨレヨレのパジャマのまま、牧野くんを迎え入れるのにとても抵抗を感じだが、何を着よう、とか、着替え用、とか頭も体も動かない。
とりあえずパーカーだけ羽織ったところで、部屋のピンポンが鳴る。

ドアを開けると、大丈夫か?と言いながらコンビニの袋を持ちながら入ってきた。

「なんで?どうしてきたの?」

「今朝電話で言ってたじゃん。熱あるの?」

「電話?私が電話した?」

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