拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
「いや、昨晩も電話したんだけど出なかったから、午前中また電話したんだよ。そしたらお前が咳き込んでるの聞こえて。どうした?って聞いたら体調悪くて寝てるって」

すぐ切れちゃったから状況分からなかったけど、来てよかったよ。と、少し呆れながら言った。
言われて、何となく思い出してきた。
ずっと鳴っているから、うるさくて切ろうと思ったら通話を押してしまって・・・てっきり浦橋くんだと思いこんでいた。


「お前顔真っ白じゃん。熱は?」

「・・・わかんない。体温計なくて」

牧野くんが、おでこに手をあててきて、あちっ、と驚いた声を上げた。

「すごい熱いじゃん、体温計買ってくるから取り敢えず寝てろよ。これ飲め」

そう言ってスポーツ飲料のふたを開けて手渡してくれた。
昨日から水しか飲んでいなかったのもあり、一気に半分程度飲み干してしまった。

もう一度私の首の後ろを触り、結構あるな、と言いながら、もう寝ろ、と言って肩をそっと押した。

何で来てくれたのか、今日は練習とか大丈夫なのか、とか、色々聞きたいことがあったが、とにかく起きてるのが辛くてお言葉に甘えて寝ることにする。

「体温計とか食べ物買ってくるから、鍵貸して」

「そこのバッグの中。お財布も入ってる」

「金はいいから。鍵借りるな」

こんな散らかった部屋を牧野くんに見られるなんて・・・と、頭をよぎるが、今は恥ずかしがっている余裕もない。
ここまで体調が悪くなったのはいつぶりだろう。中学生のころにインフルエンザに罹った以来かもしれない。

ウトウトと寝ていると、おでこにひんやりとした感覚があり、薄っすら目をあけると、牧野くんの顔が目の前にあった。
そうだった。来てくれたんだった。
おでこに手をやると、冷却シートを張ってくれたらしい。ひんやりして、少し頭が楽になる。

「何でこんなところで寝てるんだよ。ちゃんとベッドで寝ろ」

言われて気付く。水分とってトイレ行ってから寝ようと思っていながらら、そのままソファで寝てしまったらしい。

「熱測ってみて。」

真新しい体温計を手渡され、お礼を言いながら受け取り、脇に入れると、あっという間にピッピとなる。

何と39.3度だ。数字を見ると急にまた具合が悪くなってきた。さっきまで少し体が楽になってきたと思ってたのに・・・。見なきゃよかったかも。

< 138 / 250 >

この作品をシェア

pagetop