拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
なんとタイミングの悪い・・・。気まずすぎるタイミングに、情けなくなり、お店には入らず踵を返す。
今日はこのまま帰ろう。
そして、田中さんに甘えるのはもうやめよう。

そもそも一瞬でも田中さんの隣にいられたのは奇跡だった。
身の程はわかってるつもりだ。
恋人にはなれなかったけど、この数か月、牧野くんのことを忘れることができたのも仕事を頑張ることができたのも、田中さんのおかげだ。


久しぶりに、和美からお誘いがあり、二人で飲みに行くことになった。
ガッツリ食べたい、ということで、会社の側に新しくできたハンバーグステーキの美味しいお店に行くことにした。
相変わらずお酒の強い和美は食べながらビールをガンガン飲んでる。
彼氏の飯島君とは正式に結婚が決まり、両家の家族にも挨拶済みとのことだ。

「良かったね。結婚式いつ頃になりそう?」

「色々見てはいるんだけどね。飯ちゃん親戚が多いし、場所とか色々見て決めようかなって。
ウチの親は最近は顔見るたびに、まだ早い、とかブツブツ言ってるし。」

もう大変、と顔をしかめながら言っているものの、やっぱり幸せそうだ。

「それより、満里子は大丈夫?」

牧野くんとの出来事は、先ほど和美に全部話をしていた。

「それにしても、あんなに大事にしてた満里子のこと、都合のいいように扱うかなあ」

焼肉屋の友達と話していたのははっきりと聞こえた。
もうやったの?と私を軽い遊び相手風な扱いをされてた感じもしたし、『呼べばすぐ来る』という扱いを受けていたことは確かだ。
私だって、あんなに仲良くて、長い間片想いしていた相手にそんな扱いをされているなんて思いもよらなかった。

学生時代を思い出す・・・・。
実際、本命に彼女になれたことなんてなかった。遊び相手にされていたことに気づかなかった私側に問題がある気がしてしょうがない。

思えば、浦橋くんとちゃんと付き合えたことは奇跡だった。
その奇跡を私の醜い嫉妬心が邪魔をして続けることができなかった。
浦橋くんは、何度も修復しようとしてくれたのに、私のくだらなくて情けない性格のせいで上手くいかなかったが、浦橋君のことはちゃんと信じることができた。
しかし・・牧野くんのことは、わからない・・・。
お付き合いしている彼女がいるのに、私を何度も誘っていたことは事実なのだ。

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