拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
和美は一人っ子ということもあり、和美のイトコである真也と兄弟みたいに育てられたと聞いている。真也とは大学からの親友だ。その真也が和美を連れ歩いているのため俺も和美が中学生の頃から顔見知りだった。

親父の店を手伝うようになった頃、最初のころは真也に連れられて来ていた和美も、社会人になると一人で来るようになった。殆どが一人だったが、ある時同期で親友だという満里子をを連れてきた。

和美とは雰囲気が違う真面目そうな満里子に好感を持った。
最初は無意識に、途中から意識的に満里子との距離を詰めていった。

元々彼女には浮ついたところがない。和美は年齢の割に落ち着いているが、満里子は幼い。無邪気、というより、世間知らずで真面目、という印象だ。
俺に声をかけてくる職場の女性や合コンや店で知り合う女性は、もっとギラギラというか、性なのか恋なのかわからないが女の色気が強く感じられる。
それは俺に対しての場合だけではなく、単なる会話の中でも感じることだ。

それが満里子にはほとんど感じない。
だから好きな男がいたり、付き合っている男がいたのがかなり意外だった。
しかし、そのおかげで満里子にもちゃんと異性として俺を認識させれば、チャンスが俺にもあるのでは、思えるようになったのも確かだ。

満里子が店に来るようになってから1年ほどたったころ、フラついている満里子が男に支えられるようにして店に入ってきた。
土曜日に来るなんて初めてた。

無理な酒の飲み方をしたようだ。
支えてくれている男とは早く離れたそうにしている。何か揉めたのだろうか。

よっぽどつらかったのか悲しかったのか。
涙を薄っすら浮かべながら、眠ってしまった。

このまま寝かせておくわけには行かず、すぐに帰り支度をして送っていくことにする。
起こそうとして満里子の肩に触れると、
なんで・・・と問いかけるように言いながら、また涙を流した。
指で涙を拭い、そのまま唇に触れる。
酒を飲んだわりには冷たい唇に切なくなり、そっと口づける。

唇の感覚に驚いたのか、ピクりと体をゆすり、薄っすらと目を開けた満里子と目が合う。
頭を撫でると、またゆっくりと目を閉じた。

それを合図と受け取り、さっきより深いキスをすると、満里子も顔を傾け応えてくれる。
これ以上はヤバい、というところで離れると、満里子が俺の腕にしがみついてきた。
華奢な体が愛おしく、思わず抱きしめてしまう。
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