拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
浦橋くんと別れて1年以上がたっているし、気持ちはもう完全にふっきれている。
しばらくの間は、側に誰もいない、ということに寂しさを覚え、浦橋くんのことを思い出すこともあったが、それは未練とかとは違う感情だと自覚している。

浦橋くんと別れた後も、牧野くんに対してズルズルと片想いを続けてきたが、結局上手くいかなかった。そんな時、誰かに優しくしてほしくて、甘えたくて、行きつけのお店の田中さんに優しくしてもらい舞い上がりかけたが、それもほんの一瞬だった。私とは比べ物にならないくらい、素敵な女性に囲まれているのだ。しばらくは気持ちも整理できないまま過ごしていたが、今はもう平気だ。調子に乗る前に気づいてよかった。

あれからも変わらず田中さんは私に優しい目を向けてくれ、話も聞いてくれる。

だけど、もう私に触れることこともないし、私も甘えることはしない。
割り切ってセフレを続けてていれば、寂しさは癒されたかもしれないが、どうやら私にその気晴らし方法は向かないようだ。

もう一年近く、恋愛からは遠ざかっている。
好きな人もいない。
私には恋愛は向かないのかも、と自覚しつつあるため、あまり焦ったりもしない。もしかしたら一生独身かもしれないが、それはそれで仕方がないのかもしれない、と思い始めている。

真田君と別れ、木村君と二人で席に戻る途中、木村君が話しかけてきた。

「浦橋さん、って誰ですか?」

「・・・同期」

「・・・元彼?」

「・・・・・」

答えない私をしばらく見つめていたが、さっきの会話からも察しただろう。
しかし、わざわざ一緒に仕事している木村君にプライベートなことを話す必要もないだろう。

「今日、飲みに行きませんか?」

「・・・二人で?」

急に話題が変わり戸惑いながら聞き返す。
職場の飲み会で木村君と一緒に飲んだことはあるが、二人で行ったことは一度もない。

「同期誘います。中澤ってわかりますか?」

たまに食堂などで木村君と立話しているあの男の子だろうか。

「多分わかる。中澤君と3人?」

「はい。ダメですか?」

「ダメじゃないけど・・・」

たまには後輩を労うことも必要か、と思いながらも、二人で行くのは気が引けてなかなか誘えないでいたのも確かなので、3人ならそこまで気を遣わなくてもいいだろう、と思い、行くことにする。

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