拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
ここは東京のはずれだし、観光スポットのような扱いはされているが、今まで来る機会がなかったのだろう。

私もそれほど詳しくない、と言うと、適当にブラブラして、お腹空いたら何か食べましょう、と言ってくれたので、一旦海辺まで行き散歩することにした。

この前木村君と3人で飲んだ時お思ったが、静かな印象のわりに、話題も豊富だし、一緒にいて気兼ねしない。私が話しやすいように質問をしてくれたり、気配りもできて優しい。そんなところは木村君と似ている。ただ、木村君は見た目と喋り方が体育会系だが・・・。

海辺を歩いたり、座って少し話たりしているうちに、あっという間に日が傾いてきた。お店が混む前に食べるところを探そうか、とショッピングモールの方へ移動する。

中澤君ははじめてくる場所に、興味深そうにキョロキョロしながら、楽しそうに探検している。

「ここ、映画館もあるんですね」

「うん。ゲーセンもあるし、カラオケもあるし、何でもあるみたい」

ゲーセン・・・といえば・・・・一瞬、牧野くんのことを思い出した。
思えば、牧野くんのことを思い出すのは久しぶりだ。
大事な同期で、大事な友達で・・・・ずっと片想いしていた大事な人だったのに、向こうは私のことを大事な同期とは思っていなかった。都合のいい『呼べばすぐ来る』女の一人だったことがわかり、それっきりになってしまった。


「佐多さん、大丈夫ですか?疲れました?」

「あ、ううん、大丈夫。だけどそろそろお腹空いたかも」

じゃあ、どこかで食事にしましょう、と比較的すいているイタリアンレストランを差し、ここでどうですか?と聞いてきた。
確かに他に比べて空いているし、でもとても美味しそうだ。

それほど待つこともなく、席に案内されると、窓際でこそなかったが、夜景が奥見える、素敵なお店だった。
適当にそれぞれ選んだパスタも絶品で、行き当たりばったりで入った割りに、大満足だった。

帰りは乗り換え駅まで一緒に帰り、今度また木村君を誘って飲もうね、といって別れた。

それから一週間、特に中澤君と連絡取ることもなく、仕事に没頭して残業続きの1週間だった。開発部にいたころより格段に残業は減ったが、日中打ち合わせや会議が重なると、どうしても作業が夜に寄ってしまう。

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