拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
金曜日、1時間だけ残業になったが、比較的早い時間に会社を出ることができたため、スーパーに寄って帰ろうと思いながら駅に向かっていると、須藤さんと梅田さんの背中が見えた。

須藤さんの横にピッタリと寄り添うように腕をとって歩いてる梅田さんはチラチラと須藤さんを見上げながら歩き、とても嬉しそうだ。笑い声がこちらまで聞こえてきそうなほど、幸せそうな雰囲気が見て取れる。

こういう姿がちょくちょく目撃されているため、『公認の仲』と噂されるのだろうが、最近須藤さんと飲みに行く機会が続いたが、この話題には触れられなかった。何となく、触れずらいというか・・・・今度柴田さんにでも聞いてみようか、と密かに思う。

ああいう姿を見かけると、少しだけ寂しい、というか、心に隙間風が吹くような感覚になることもあるが、自分が再び恋愛する気にはなれなかった。尊敬する須藤さんや、その友達の柴田さんにたまに誘ってもらったり、仕事帰りに木村君と飲んだりするのが、とても気が楽だ。

浦橋くんと付き合っている頃は、仕事のことや人間関係のことでたくさん相談にのってもらったし、支えてもらった。だけど今思えば、全部私のくだらない愚痴に付き合ってくれていただけなんだ、ということが良くわかる。

田中さんにも、毎回、飲んで、愚痴って・・・お酒の弱い私の面倒は大変だっただろう。田中さんに優しくしてもらい、何度か抱かれ、勘違いしそうになったこともあったが、踏みとどまれて良かった。

最近の私は、一人で解決することを少し覚えた。思ったことを愚痴として口に出さなくても、消化できるようになってきた。

そんなことを思いながら、須藤さんと梅田さんの背中を見ながら歩いていると、二人は駅には向かわず、途中の路地に消えて行った。二人で食事しながらデートだろうか。

チクりと胸が痛んだ。
この痛みは・・・・羨ましさ、だろうか。

私も恋ができる日が、来るのだろうか。

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